軽量粘土でルアーを作る方法【バルサ並の浮力・加工も簡単】

ルアーの作り方
ウッドではない素材でルアーを作りたい
同じ形のルアーを簡単に量産したい

そんな方は、軽量粘土を使ったルアー作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。

粘土と聞くと「浮力がないのでは?」と思われるかもしれませんが、手芸用の軽量粘土はバルサ並の浮力があり、フローティングタイプのルアーを作ることもできます。

自由自在な形のルアーを簡単に作ることができ、型を作れば量産も可能です。

転写シールで模様をつければ、「これが粘土?」と驚くような本格的なルアーに仕上げることもできるなど、ルアーを作るのにメリットがたくさんあります。

木材を使ったルアーとは作り方がかなり異なりますので、詳しく解説していきます。

当サイトでは、他にも軽量粘土を使ったルアーの作り方を紹介しています。以下の記事も合わせてご覧ください。

材料をそろえる

軽量粘土

ボディの材料となる素材です。

軽量粘土の画像

色付きの粘度同士を混ぜ合わせたり、絵の具を混ぜ、好きな色の粘土を作ることができます。

後のページで紹介しますが、転写シールで模様をつける場合には、ホワイトの粘土をそのまま使うのがおすすめです。

入手先:100円ショップ

おゆまる(プラスチック粘土)

おゆまるは、80度のお湯で柔らかくなるプラスチック粘土です。おゆまる自体をルアーにする方法もありますが、手軽に型を取るための素材として非常に優秀です。

一度固めても、熱湯に漬ければ再度柔らかくなり再利用も可能です。粘土の他、レジンでルアーを作るときにも便利に使えます。

おゆまるの画像

入手先:100円ショップ

ウッド(アガチス材等)

アガチス材の画像

粘土製ルアーの基になるボディのマスターを作ります。

加工が面倒ですが、強度のあるアガチス材がおすすめです。

入手先:ホームセンター

ステンレス線

ステンレス線の画像

ルアーのアイとフレームを作成します。

強度を考え太さ0.9ミリのものを使用します。

入手先:ホームセンター

ウエイト

中通しオモリの画像

軽量粘土は浮力が高いため、ウエイトは大き目のものを入れます。

今回作る3センチのクランクベイトでは、0.5号(1.87グラム)の中通しオモリを使います。

入手先:釣具店

ポリカーボネート板

ポリカーボネート板の画像

リップの材料となります。

アクリルよりも耐衝撃性が高く、丈夫なリップが作れます。

入手先:ホームセンター

マニキュア(クリア)

マニキュアの画像

リップの断面やリップの取り付け部を綺麗に仕上げるために使用します。

セルロースセメントを綿棒で塗る方法もあります。

入手先:100円ショップ

セルロースセメント

セルロースセメントの画像

ルアーのコーティング剤です。

軽量粘土は水に弱く強度が低いため、念入りなコーティングが必要です。

入手先:ホームセンター

転写シール

転写シールの画像

プリンターで手軽に模様を出力し、ルアーに転写することができます。

入手先:家電量販店

瞬間接着剤

瞬間接着剤の画像

リップをボディに固定するために使います。

入手先:100円ショップ

道具をそろえる

プライヤー

プライヤーの画像

ステンレス線を曲げるために使用します。

先の細いものが使いやすくおすすめです。

入手先:ホームセンター

カッターナイフ

カッターナイフの画像

ボディに付いたバリを取り除いたり、リップを取り付ける穴を開けるのに使います。

入手先:ホームセンター

切り出しナイフ

切り出しナイフの画像

マスターボディのウッドを削るのに使います。

ウッドは堅いので、カッターナイフで削るのは危険です。

入手先:ホームセンター

サンドペーパー(紙やすり)

サンドペーパーの画像

型から取り出したボディを磨いて綺麗にします。

マスターボディの仕上げにも使用します。

入手先:ホームセンター

釘を使ったフレーム制作ツールの画像

ステンレス線でフックアイ、ラインアイの形成をする際に使います。

フレーム作成用のテンプレートを作っておくと便利です。作り方は以下の記事をご覧ください。

入手先:ホームセンター

デザイン、マスター作成

デザインを決める

どんなルアーを作りたいのか、はじめにデザインを考えます。

紙に書いたり、ウッドを削ったり、イメージを起こします。

粘土で実際に形を作ってみると、よりイメージが膨らみます。

私の場合、機能性よりも「こんなルアーを使いたい」と思えるような親しみやすさを重視してデザインしています。

粘土ルアーの残骸の画像
デザインを試行錯誤した残骸

ウッドを削る

作る形が決まったら、今度は型の基となるマスターボディを作ります。作り方は、バルサやウッドでルアーを作る場合と基本は同じです。

ウッドを2枚、両面テープで仮止めします。後ではがしやすいよう、ボディの端の部分のみに貼るようにします。今回作るルアーは幅が約15ミリなので、8ミリの厚さのアガチス材を貼り合わせました。

貼り合わせたウッドにルアーの輪郭線を描きます。

ルアーの輪廓を描いたアガチス材の画像
ウッドを貼り合わせ、ルアーの輪郭線を描きます

描いた線通りにウッドを削り、まずは横から見たルアーの輪郭を形成します。

次にルアーの上から見た輪郭を形成します。左右対称になるよう気を付けてください。

輪郭ができたら、角を落としていきます。今回作るルアーは、腹側は扁平で、背中側が丸みを帯びるという変わった形になるので、腹側はあまり削りません。

大まかに角を落としたら、さらにその角を落とし、ボディを滑らかにしていきます。

アガチス材を削っているところの画像

ある程度綺麗になったらサンドペーパーでサンディングし、ツルツルに仕上げます。

綺麗にサンディングしたアガチス材の画像

仮止めを取る

両面テープで仮止めしてあった部分をカッターナイフで割ります。

二つに分かれた片方を、別のウッド板に両面テープで仮止めします。

型を取るための準備ができたところの画像

これで、型をとるためのマスターの準備が完了しました。

「おゆまる」でルアーの型をとる

おゆまるを熱湯で温める

温める前のおゆまるの画像
温める前のおゆまる

樹脂粘土「おゆまる」は、80度以上のお湯につけると柔らかくなり、手で形成できるようになります。

沸騰させたお湯を容器に入れます。

おゆまるを入れ、数十秒すると柔らかくなるので、箸を使い取り出します。(やけどには十分ご注意ください)

おゆまるをお湯につけるところの画像

キッチンペーパーなどで水気をとります。

手で触れる程度に冷ましたら、ルアーが収まるくらいの大きさの塊を2個作ります。

ちなみに、3センチのクランクベイトを作るのであれば、おゆまる2個で足りました。

マスターボディにおゆまるを押し付ける

形成したおゆまるを、前の工程で作った板を貼り合わせたマスターに押し付けます。

隙間が無いようボディに密着させたら、おゆまるを冷水で冷やして固めます。

マスターボディにおゆまるを押し付けて型を取る

固まったら、四隅の余白にポンチかドリルで穴を開けます。こうすることで、もう片方の型と合わせたときにずれにくくなります。

型の四隅に窪みを作るところの画像
ポンチを使い、型の四隅に窪みを作る

残り半分の型をとる

次はもう片方の型を作ります。

板に貼り合わせたマスターを取り外し、今度は片割れのボディと両面テープで仮止めします。

貼り合わせたマスターボディの画像

残り1個のおゆまるで、もう片方のボディ用の型を作ります。

先に作ったおゆまるの型に仮止めしたボディを入れ、柔らかくしたおゆまるを押し付けます。

穴を開けた四隅にもよく押し付けます。

もう一方の型を作ったところの画像

形成できたら冷水で冷やして固めます。

アイの出る部分を削る

出来上がった型のフックアイとラインアイが出る部分に、彫刻刀などでくぼみを作ります。

ラインアイが出る部分を彫刻刀で削っているところの画像

アイの出るくぼみを作る

これで型のできあがりです。次はフレームを作ります。

出来上がったおゆまるの型

4.フレーム作成

貫通式のフレームを作る

ルアーのフレームを作ります。

作り方は、バルサやウッドでルアーを作る時と同じで、ステンレスワイヤーを曲げて作ります。今回使ったのは太さ0.9ミリのステンレス線です。

アイの部分は、釘を支点に曲げたワイヤーをプライヤーで締め付けて形作ります。

アイを作っているところの画像

同じルアーをいくつも作るのであれば、写真のような装置を作っておけば簡単に同じ形のフレームを作ることができます。

ツールを使ってフレームを作っているところの画像

ウエイトを組み込む

今回のルアーは、ウエイト一体型のフレームにするので、一方のアイを作ったら中通しオモリを通し、もう一方のアイを作ります。

ウエイトを付けたフレームの画像

両方のアイができたら、中通しオモリをプライヤーでつぶして形成します。

ウエイトをペンチでつぶしているところの画像

このルアーの場合はボディの腹側を厚く浮力が高いため、ウエイトの位置をかなり下の方に固定します。

スタンダードな形状のミノーやクランクベイトを作るのであれば、ウエイトの形状や位置にあまり神経質にならなくてもいいと思います。

フレームのできあがり

これで粘土ルアーの骨組は出来上がりです。

次のページで、いよいよ軽量粘土のボディを作ります。

出来上がったフレームの画像

5.形成、乾燥、サンディング

型に油を塗る

いよいよ、おゆまるで作った型を使い、粘土のボディを形成します。

まずは、型にティッシュに染み込ませたオイルを塗ります。こうすることで、水分を含む粘土が反発力で型からはがれやすくなります。※オイルはベビーオイルなどを使います。

型にオイルを塗っているところの画像

粘土を型に詰める

片方の型から少しはみ出るくらいの粘土をちぎり取ります。

ちぎった粘土の画像

粘土の量は目分量で大丈夫です。

ちぎった粘土を型に詰めます。

粘土を型につめたところの画像

型からはみ出た粘土を、定規やヘラ等でそぎ落とします。

はみ出た粘土を削ぎ落としているところの画像

もう片方の型にも粘土を詰め、同じように余った部分をそぎ落とします。

フレームを組込みボディを貼り合わせる

フレームとウエイトを型に詰めた粘土に埋め込みます。

もう片方のボディにも、フレームとウエイトの形を付けておきます。

粘土のボディにフレームを組み込んでいるところの画像

粘土は柔らかいため、ウエイトやフレームが左右にずれやすいですが、あらかじめウエイトの入る部分の粘土を取り除くことでそれを低減できます。

フレームとウエイトを組み込んだら、左右のボディを貼り合わせます。

型がずれないよう、しっかり押さえてボディを形作ります。

型から取り出して乾かす

ゆっくりと取り出します。

粘土の部分は少し触っただけで形が変わってしまうので、アイの部分に針金をひっかけるようにして取り出すとうまくいきます。

粘土のボディを型から取り出すところの画像

もしも傷がついてしまっても、またすぐに型に入れれば復元できます。

そのままクリップのハンガーにひっかけて乾かします。

ハンガーに引っ掛けた粘土ルアーの画像

完全に乾燥するまで丸2日(48時間)ほどかかりますので、新たなルアーのデザインなどを考えながら待ちます。

サンディングして整える

つなぎ目の部分がわからなくなるまで磨きます。

乾いたボディをサンディングし綺麗に整えます。

サンディングしたボディの画像

これでボディの形成は完了です。

コーティング、塗装

セルロースセメントにどぶ漬け

形成したボディをコーティングします。

バルサなどで作った場合と同じく、セルロースセメントへのどぶ漬けを行います。

軽量粘土は水に溶けてしまうので、入念にコーティングしましょう。コーティングは最低でも20回は必要です。

1回のコーティングで3時間程度乾燥させますので、単純計算で60時間ほどかかってしまいますが、ここは根気です。1週間かけてじっくりやりましょう。

※1回のコーティングの間を何日も開けてしまうと、ひび割れを起こしてしまうことがあるので、ご注意ください。

セルロースセメントにどぶ漬けするところの画像

ボディバランスをテスト

5回ほどコーティングしたところで、水に浮かべてテストしてみましょう。

粘土のボディはウエイトが左右に寄りやすいので、この段階でチェックしておきます。

仕上げまでした後で失敗が発覚すると、大きなショックを受けることになります。(経験済み)

うまくいかなかったボディは塗装の練習にも使えますし、ばらしてフレームを再利用することもできます。

失敗したボディの画像
失敗したボディ。ウエイトが左右に偏っているのがわかります

カラーリング

この時点で、ボディの表面がツルツルになっていると思います。ここでボディに模様をつけます。

エアブラシなどで塗料を使った塗装をしてもいいのですが、おすすめは転写シールを使う方法です。

写真のように細密な模様を手軽にプリントすることができます。

転写シールで模様をつけたボディの画像

転写シールでルアーに模様をつける方法については、以下記事で解説しています。詳しくはこちらをご覧ください。

模様をつけたボディを、さらに15回程度コーティングします。

コーティングを十分に乾燥させたら、ボディは完成です。

どぶ漬けを繰り返しているところの画像

目玉を付ける場合には、ルアーのアイ(目玉)もハンドメイドする【100均素材のみで作れる】をご覧ください。

失敗したボディを再利用

ボディバランスなどに失敗したボディは、あえて綺麗に模様を付け、ストラップなどにしてもいいと思います。

minne のようなオンラインマーケットでアクセサリーやストラップとして販売してみるのもありでしょう。

リップ取り付け、仕上げ

ポリカーボネート板でリップを作る

リップにはポリカーボネート板を使います。

ネームペンで補助線を書き、アクリルカッターでなぞって溝を付け、折り取ります。

このルアーはフレームがボディの腹側に寄っているので、これをよけるためにリップにニッパーで切り込みを入れます。

切断面はサンドペーパーで磨きます。

アクリルカッターでポリカーボネート板を切る

フレームをよけるための切り込みを入れたリップ

リップの作り方は以下記事で詳しく解説しています。こちらも合わせてご覧ください。

リップを取り付ける

ボディにリップを差し込むための穴を開けます。

カッターやデザインナイフでコーティング面を切り取ってからボディに彫り進むとうまくいきます。

開けた穴にリップを差し込み、角度や深さを確認します。

穴の部分は粘土がむき出しになってしまうので、防水のために接着剤を染み込ませます。

リップを差し込み、固定します。

接着剤が乾いたら、リップの根元の周囲にクリアのマニキュアを塗ります。

防水の意味もありますが、接着剤が固まったところが白く濁ってしまうので、クリア塗料を塗ることで綺麗に仕上げます。

リップの断面にもマニキュアを塗ると、ツルツルとした綺麗な仕上がりになります。

マニキュアは速乾性なので、1時間も乾かせば十分です。

リップの取り付け穴を開ける

リップの側面と根元にマニキュアを塗る

粘土ルアー完成

これで軽量粘土製ルアーの完成です。

約3センチ・約3グラムのクランクベイトです。

スローフローティングで、ゆっくり引くと強めのローリングアクションで泳ぎます。

まとめ

軽量粘土でルアーを作る方法を解説しました。

軽量粘土は、型さえ作ってしまえば、加工も量産もしやすい素材です。

白い粘土を使えば、下地を塗らなくても塗料や転写シールが映えるので、カラーリングにも向いています。

バルサやアガチスでのルアー作りに飽きたら、ぜひ挑戦してみてください。

おまけ:鈴をラトル代わり入れてみた

100円ショップで売っている直径7ミリほどの鈴を、ラトルとして粘土ルアーに埋め込んでみました。

フレームを作る工程で、針金に鈴を通しておき、テープで鈴の穴を塞ぎます。

あとは同じように型に粘土を詰めてフレームを埋め込みます。

鈴を埋め込んだボディは、「カチカチ」という音が鳴るようになりました。

この音が水中で魚に聞こえるかどうかは疑問ですが、粘土ルアーならこのように色々アレンジできる一例としてご紹介しました。

わざわざ鈴を使わずとも、ワーム用のラトルスティックがあるので、大きさが合うならこれを埋め込んでみるのも良さそうです。

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