- オーソドックスなルアー製作の方法が知りたい
- バルサ材でルアーを作りたい
このページでは、ルアーの素材としてスタンダードなバルサ材を素材に使ったルアーの製作方法を紹介します。
リップを付けず、比較的簡単に作れるペンシルベイトを作ってみましょう。基本的な作り方をマスターすれば、ミノーなど他のルアー作りにも応用できます。
この記事を読むと、以下のようなことをお持ち帰りいただけます。
- 基本的なルアーの作り方を把握できる
- バルサ材を使ったルアーの作り方を把握できる
なお、リップを付ける場合は、以下のページを合わせてご覧ください。
そのほかのルアーの作り方は、以下のページをご覧ください。
ルアーのデザインを決める
まずは作りたいルアーのデザインを決めましょう。
おすすめは、あなたが普段釣りをしているフィールドにいるベイトフィッシュをモチーフにデザインを考える方法です。
ベイトフィッシュの把握
ターゲットとする魚が普段捕食しているベイトフィッシュ(餌となる魚などの生き物)を把握します。
たとえ狙う魚が同じでも、常食しているのがタナゴのように体高のある魚なのか、それともワカサギのように細長い魚なのか。
そのフィールドに多いタイプのベイトに合わせたシルエットのルアーを使うのが、一般的には良いとされています。
それも踏まえたうえで、作るルアーをイメージします。
スケッチする
自分の作りたいルアーをフリーハンドで紙に描きます。リアルなもの? ポップなもの? 色は? 大きさは?
どうせ作るなら、市販には無いものをイメージしてしまいましょう。(もちろん、慣れるまでは市販のもののコピーでもOKです)
今回はトラウト用のリアルペンシルを作るので、それを念頭においてイメージしていきます。
ネットの画像検索でモデルにしたい魚の写真を探して参考にするのもいいでしょう。
コンセプトも決めよう
デザインを決める際に、「コンセプト」も定めておくと、製作途中で方針がブレにくいのでお勧めです。今回のものは「弱って漂う小魚」にしました。捕食者が獲物を見つけたときのシチュエーションを思い浮かべることで、魚に対してどんな見せ方をすればいいのかがイメージできます。
簡単な絵と文章で作るルアーの仕様を決めておけば、製作途中で迷った際のバイブルとして見返すことが出来ます。とは言っても難しく考えず、メモ程度でいいと思います。構想を練ることを楽しむことが一番です。
イメージが固まったら、それを形にするための道具と材料をそろえましょう!
道具と材料をそろえよう|バルサ材でルアーを作る
ホームセンターや100円ショップへ
作るものが決まったら、必要な道具と材料も決まってきます。
さっそくホームセンターや100円ショップへ出かけましょう。
材料/入手先(参考)
材料 | 入手先 |
---|---|
バルサ材 セルロースセメント ステンレス針金 ラッカースプレー 木工用ボンド | ホームセンター |
オモリ フック スプリットリング | 釣具店 |
アルミテープ | 100円ショップ |
ドールアイ | 手芸店 |
セルロースセメントは手に入れられる場所が限られるかもしれません。Amazonや楽天などのネットショップでも入手可能です。
道具
道具 | 入手先 |
---|---|
カッターナイフ ラジオペンチ 彫刻刀 寸切ボルト(全ネジ) | ホームセンター |
皮用ポンチ | 手芸店 |
メタルラック | 100円ショップ |
意外にお金はかかりません
材料と道具をすべてそろえて7,000円弱。高くても1万円はいかないでしょう。私の場合は、ラジオペンチや彫刻刀など基本的な道具はもともと持っていたので、もっと安く上がりました。
ちなみに、100円ショップに行けば、大抵のものは手に入ります。
以下記事で、100円ショップでそろう道具と材料を紹介していますので参考にしてください。
次回からは材料費だけでいいので、1個あたりの原価はもっと押さえることができます。
道具の中には、これって何に使うの? というようなものもあるかもしれませんが、使い方は作業工程の中で説明していきます。
ルアーの型取り
デザインしたルアーを形にしていきましょう。
型紙を作る
まずは、描いたイメージ画を元に、型紙を作ります。型紙におこしておけば、後で同じものをたくさん作ることが出来ます。ボディの形の他にも、ウエイトやラインアイの位置も書き込んでおくと便利です。
型紙は厚紙でも作れますが、薄いプラスチックで作れば耐久性に優れ長持ちします。今回は、瞬間接着剤のパッケージの厚紙が分厚くて丈夫そうだったので、それを使って作ってみました。
ルアーのボディ全体のものができたら、これをもとに顔の部分も別の型紙を作っておきます。後のチャートで、アルミテープを貼る際に必要になります。
バルサ材に型を描く
型紙が出来たら、バルサ材に描いてみましょう。描くものは普通のボールペンでOKです。
このときに気をつけるのは、木目に沿って縦に並んだ二つを貼り合せるようにすること。
木材は場所によって密度が違うので、離れた場所の部分を貼り合せてしまうと浮力のバランスが悪くなることがあります。切り出した後でも分かるように、対になるものに同じ記号や番号を振っておきましょう。私はABCを振ってみました。
ウエイトとラインアイの位置もこのときに描いておきます。
カッターで切り出し
線を描いたら、バルサ材をカッターナイフで切り出します。バルサ材は柔らかいので、厚さ5mm程度のものまでなら難なく切れます。とはいえ、木目にそって裂けやすいので、注意しながら行ないます。
はじめに線に沿って浅く刃を入れ、その場所を何度も軽くなぞれば綺麗に切れます。
一つ一つ切り離してから線にそって切る方がやりやすいです。
ルアーのフレーム作成
ラインアイを作る
ルアーのラインアイになる部分を針金で作ります。
前のパートで描いた線に沿って、針金を曲げていきます。
アイになる部分はクギを軸にしてペンチでしめることで綺麗に作れます。
針金を釘に当ててペンチで締めると、綺麗な丸になります。
ラインアイ作りに便利な道具
同じルアーをたくさん作るのであれば、下の写真のようなツールを作っておくと便利です。
こちらの作り方と使い方は、以下の記事に詳しく書いています。
ボディの組み立て
フレームが出来たら、ボディに組み込んでいきます。
ボディにフレームを挟んで軽く押しつけると、バルサ材にフレームの跡が付きます。
この後に沿って、角刃の彫刻刀で溝を彫ります。深すぎず浅すぎないように気をつけます。ウエイト部分は丸刃の彫刻刀で彫ります。
力を入れすぎると柔らかいバルサ材は簡単に貫通してしまうので注意が必要です。
左右が同じ深さになるように彫りましょう。
フレームとウエイトの溝が彫れたら、ボディの片側に木工用ボンドを塗って貼り合せます。
ボンドが乾くまで、輪ゴムで縛って押さえておきます。
30分程度、充分に乾かします。
ルアーの削り出し
カッターナイフでの粗削り
フレームとウエイトを組み込んだルアー。いよいよ様になってきました。これをさらに削って整えていきましょう。
これを立体的に削り、形成していきます。
コツは焦らないこと。まずは、全体の角を落とします。次に、このときに出来た角を同じよう削ります。
仕上げのサンドペーパー
ボディの角を落としたら、#150から#180くらいの中目のサンドペーパーで全体の角を粗く削ります。
この時、あまり強くこすりすぎないようにしましょう。バルサ材は柔らかいので、強い力を入れると削りすぎてしまいます。
全体が丸みを帯びたら、#200以上の目の細かいサンドペーパーでスベスベになるまで研きます。
写真のようになればOK。削り作業は終了です。
まだ色が付いていませんが、完成形が見えてきましたね。
削り方のイメージ
カッターでの粗削りからサンドペーパーで滑らかにしていくボディの断面図を簡単に示すと、画像のようになります。カッターで角を落とし、できた角をサンドペーパーでさらに削り取ります。
重心を安定させるため、ルアーの腹側を大目に削り、逆三角形になるように形成します。
下地コーティング
磨いたルアーにコーティングを施します。
セルロースセメントの樹脂膜を木材の表面にかぶせることで、防水と補強の二つの役割を持たせることが目的です。
何度もコーティングを重ねることで、ツヤツヤとして綺麗な仕上がりになります。
1回漬けただけでも、木材だけのときとは印象が大きく違ってきます。
コーティングを行う際には、下の画像のようなルアーを吊り下げるためのハンガーを用意しましょう。針金やクリップを曲げて簡単に作れます。
セルロースセメントにどぶ漬け
ルアーをセルロースセメントにどぶ漬けします。
ルアーを吊り下げたハンガーを持って、セルロースセメントの容器にゆっくり浸します。
液体から抜き上げるときの動作はゆっくり行いましょう。こうすることで、ルアーに余分な液体が残りづらく、乾燥の際の液垂れが少なくて済みます。
コーティングの方法を解説した記事もあります。合わせてご覧ください。
吊り下げて乾燥
コーティング材にどぶ漬けしたら、ルアーを吊り下げて乾かします。
コーティングしたルアーは、吊り下げて乾かしておく必要があります。乾燥用のラックを用意しておきましょう。こちらは、100円ショップなどで売っている小さめのメタルラックが便利です。風除けとして箱などで囲うと良いです。
「漬ける」「乾かす」の作業を3回くり返します。1回あたりの乾燥時間は3時間程度かかります。作業そのものは簡単ですが時間がかかるので、根気よく続けましょう。
3回目のコーティングが終わったら、ルアーの浮き姿勢を確かめるためのスイムテストをしておくと良いでしょう。
アルミ貼り
下地コーティングが乾くのを待つ間にも、やっておくことがあります。ルアーの表面に貼るアルミシールを準備しましょう。
アルミテープにウロコ模様を付ける
アルミテープは、ボディーに貼る前にウロコ模様を付けます。
ナイフで彫ったりヤスリに押し付けたりと色々な方法がありますが、中でも「綺麗に」「楽に」できる、長ネジによる模様付けをここでは紹介します。
その他のウロコ模様の付け方については、アルミテープを使ってルアーにウロコ模様を付ける5つの方法をご覧ください。
さて、まずはボディの型取りに作った型を使い、アルミテープを切ります。ボディの部分と頭の部分の2種類を作ります。
顔の部分はボディの型をもとにして専用のものを作ります。
ウロコ模様をつけるのは、ボディの方だけです。
弾力のある板ではさんで転がす
カッターマットやまな板のような、ある程度の弾力のある板を2枚用意します。一方の板の上に切り取ったアルミテープを置き、斜めに長ネジをセットします。もう一方の板をその上に置き、アルミテープに押し付けるように力を加えて一気に転がします。
このとき、長ネジの角度に気をつけましょう。縦に長いひし形のウロコを作りたいので、ボディーに対する角度は小さくします。
連続した斜線が付いたら、今度は角度を逆向きに変えてもう一度同じように挟んで転がします。
ボディのアルミ貼り
ウロコ模様を付けたアルミテープを、下地コーティングを終えたボディに貼ります。
頭と尻尾の位置を合わせたら、指の腹で馴染ませながら全体に広げていきます。ペンのキャップや接着剤のふたなど、柔らかいプラスチックでこすると綺麗に仕上がります。
ネジでつけたウロコ模様は簡単には消えないので、ボディの形に馴染むまでしっかりこすります。
余分なアルミを取り除く
ボディのアルミを貼り終えたら、目玉の入る部分のアルミを取り除いておきます。
顔の部分を貼る前に2回コーティングを行います。先に貼ったボディのウロコ模様が透けないメリットがあります。
コーティングが乾く間、合計で約6時間も待たなければいけませんが、気長にやりましょう。
顔のアルミを貼ったら、ボディとの境目が無くなるまでさらに3回ほどコーティングを行ないます。
カラーリング
ラッカースプレーで簡単カラーリング
本格的にルアービルディングをされている方にとっては、カラーリングが一番のこだわりポイントかもしれません。それゆえに、ルアービルディングを敷居の高いものにしてしまっている要因でもあります
そのとっつきにくさを解消するために、ここでは100円ショップでも売っているラッカースプレーを使った簡単カラーリングを行ないます。
カラースプレーは霧が広がりやすいので、厚紙などでマスキング用の型を作り、狙い通りのカラーリングを行います。
シンプルに2色でOK
使うラッカーは、背中側と腹側の2色のみ。魚を釣るだけなら、複雑なカラーリングは必要ありません
背中側は、地上からの視認性の良いイエローやピンクなどがお勧めです。腹側はアルミと木材の境目を消して綺麗に見せるためにホワイトを使います。
マスキングでコントロールの難しさをカバー
カラースプレーはルアーのような小さいものを塗るのにはおおざっぱ過ぎるので、コントロールが難しいです。霧が広がりやすいので、少し手元が狂うとルアー全体を塗ってしまったりします。
そこで、牛乳パックや厚紙などにルアーの背面と同じくらいの穴を切り抜いて、マスキング用の型を作ります。
ルアーとマスキングの型を一緒に持ってスプレーすれば、側面に塗料を付けずに済みます。
もしも塗装に失敗しても、しっかり泳ぐのであれば普通に使えるし釣れます。2軍選手としてとっておきましょう。
スプレーを使う際には換気をしっかり行ない、マスクをして作業しましょう。
複雑な模様をつける場合には、転写シールを使うのがおすすめですので、余裕があればこちらにも挑戦してみてください。
コーティング
コーティングを繰り返し塗装を強化
カラーリングが終わったら、よく乾燥させます。このままセルロースセメントに漬けると、せっかく塗った色が流れてしまうので、木工用ボンドを使って色止めを行います。
さらにドブ漬けと乾燥を5回くり返します。
いよいよ次のステップで仕上げを行ないます。
アイ装着
目玉を入れて命を与える
ルアーに命を与える作業、目入れを行ないます。
コーティングがよく乾いたら、目玉の場所に付いたコーティングをはがします。はがした場所は木材がむき出しになるので、瞬間接着剤を染み込ませて防水します。
接着剤が乾く前にアイを入れ、よく乾かします。
ミノーなど、リップのあるルアーを作る場合は、このタイミングで取り付けます。リップの作り方と取り付け方は、以下記事で解説しています。
完成間近。もう少しなので頑張ってください。
目玉次第で色々な表情に
ルアーのアイは、デザイン的には非常に重要なパーツです。
今回はドールアイを使いましたが、本来はぬいぐるみなどに使う目玉なので、ルアーに装着するには見た目が微妙かもしれません。
定番はルアー用のリアルアイ。他にも、ボディに直接描いたり、ビーズを使ったりと、様々な方法があります
自分の好みを見つけてみましょう。
ルアーのアイを自作することもできます。コーティングが乾くのを待つ間などに作っておくのもありです。
仕上げ
余分なコーティング剤を削り取る
ラインアイとフックアイに付いた余分なコーティング材(バリ)を落とします。
カッターナイフを当てて切り込みを入れ、刃先で浮かせてはがします。
フックを着ける
スプリットリングを使ってフックを装着しましょう。これでルアーの完成です。実際にフィールドで使ってみましょう。
スイムテスト
ルアーが完成したら、スイムテストを行いましょう。
まずは透明な容器に浮かべてみて、横から浮き姿勢を見てみましょう。
想定した浮き方になっているでしょうか。
次は浴槽などの少し大きめの水面で動きを見てみましょう。
割り箸くらいの短い棒にラインを結んでアクションさせると、実際にロッドで操ったときに近い動きをしてくれます。
最後は実際のフィールドでのテストです。
キャストした時の感覚、流れや風がある環境でのアクションを確かめましょう。
テストで得たデータを、次のルアー作りや改善に役立てます。
まとめ
バルサ材でルアーを作る方法を解説してきました。
バルサは浮力が高く、加工をしやすいこともあり、ルアーの材料としては最適です。
木が柔らかいのでコーティングをたくさんしなければならないのが難点ですが、自作ルアーの最初の一個を作るのに最適な素材だと思います。
はじめのうちはうまくいかないこともたくさんあると思いますが、諦めずに挑戦してみてください。
うまく作成できたら、ネットショップを作って販売してみたり、作り方をブログで公開してみたりするのもありです。詳しくはルアーメイキングで稼ぐ方法7選【ネットショップだけじゃない】をご覧ください。
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